カートのエンジン点検ができるゲージ類や
ツールを揃えたので
本命のYZ125ではなく
シンプルで簡単に分解できる
レーシングカート入門用のKT100SDで
エンジンの点検方法(ツールの使い方)を
詳しく説明していきます。

利用するツールは
トルクレンチ
シリンダーゲージ
シクネスゲージ
マイクロメーター

エンジンの上半分は素人でも出来るレベルです。
シリンダーから下の半分はプロにお願いしよう。

◆分解開始!

まず最初にシリンダーヘッドを外します。

次のように6個のボルト(12mm)を
ボックスレンチで外します。

KT100のヘッドボルトを緩める

次の写真のように
対角線状に順番に緩めるのがベストです。

カートエンジンのボルトを緩める手順

ボルトを外すとワッシャーが残っているので
これも外して無くさないように注意。

ヘッドボルトのワッシャー

この状態でシリンダーヘッドを持ち上げれば外れます。

シリンダーヘッドを外すと次のように
KT100のピストンが登場!

KT100SDのシリンダー

シリンダーヘッドの裏側はこうなっています。

シリンダーヘッドの裏側

解りづらいかもですが
次の写真の矢印の位置に薄い金属の
ヘッドガスケットがあります。

ヘッドガスケット

ヘッドガスケットは基本的には交換です。
シリンダーに貼りついています。

シリンダー内部を覗いてみると
この計測のためだけに入手したエンジンですが
意外にも綺麗!
しかも傷もほぼなくて程度が良いです。

運が良ければピストン交換も不要かも?

KT100のシリンダー内部

ピストンに矢印が刻印されていますが
この方向が排気側です。
取付時に逆にならないように覚えておきましょう。

キャブが付いた状態であれば
キャブレターのホースは外しておきましょう。

キャブレターのホースを外す

硬くなって抜けにくい時は
ドライヤーで熱すると簡単に抜けます。

次はこのシリンダーを外します。
固定しているナットは4個で
サイズはヘッドと同じ12mm

次の写真のように穴の奥にあるので
ボックスにエクステンションを付けて回します。

KT100のシリンダーを外す

シリンダーとクランクケースの間には
ガスケットがあり
これが両方に貼りついているので
ナットを外してシリンダーを持ち上げても
外れません。

あまりお勧めではありませんが
次のような位置に
大きいサイズのドライバーを当てこじりました。

※空冷のフィンに気を付けてください。
フィンをこじったり、
たたいたりするとフィンが折れてしまいます。

シリンダーガスケットを外す

次の写真はガスケットが剥がれて
シリンダーを持ち上げると
クランクケースとの間に隙間ができて
ボルトが見えてるとこです。

ガスケットが綺麗に剥がれた状態

さらにシリンダーを持ち上げて外すと
クランクと
ピストン全体が見えてきます。

KT100のクランクシャフトが見える

次は
ピストンを一番下に下げた状態です。
ピストンの上部にある
ピストンリングも開いていて確認できます。

ピストンが下がった状態

外したシリンダーの裏側です。
ガスケットは綺麗に破れることなく
シリンダー側に貼りついています。
もちろん、これも要交換です。

KT100のシリンダーの裏側

シリンダーの下側から
シリンダー内部を覗いてみると
やはり綺麗ですね!
黒く傷に見えるのはオイルの汚れの付着で
浅い傷は僅かにありますが
深い傷はないです。

シリンダーの下側からの内部

次にピストンリングを外します。
このリングは写真のように切り欠きがあります。

ピストンリングはこれ

切り欠きの片側はピストンリングの
溝の奥に入れ
反対側に指をかけて
リングを開いてピストンの上側に持ち上げます。

KT100のピストンリングを外す

リングは気をつけないと折れるので
広げるのは最小限に!
広げた片側の先端がピストンの上に来たら
右から左に回すように
少しづつ持ち上げていき外していきます。

ピストンリングが外れた写真です。

外したピストンリング

次にピストン本体を外します。
ピストンはクランクのコンロッドに
ピストンピンで繋がっているので
そのクランクピンを抜きます。

ピストンピンはピストンの両方にある
C型のリングで抜け止めされているので
このリングを最初に外します。

次の写真のピストンの穴の奥に
ピストンピンが見え
その手前に見えにくいですがC型のリングがあります。
サークリップといいます。

KT100のピストンピンの取り外し

白っぽい筒状のがピストンピンで
その手前に黒く見えるリングがあります。

次のように
ピンの穴の1ヶ所に半円の切り欠きがあるので
ここに精密ドライバーのマイナスを差し込むと
サークリップの外側にハマるので
サークリップを内側に縮めるようにこじりました。

固定のリングにドライバーを差し込む

さらにドライバーを外側にこじると
写真のようにサークリップの片方の先端が出てきます。

サークリップが出てきた写真

これを次の方向から見ると確認し易いかな!

角度を変えて外し方を見る

ドライバーはこの位置で固定しておき
ここまでサークリップが出たら
ラジオペンチのような先細のペンチで掴み
引っ張りだせばよいです。

ペンチでピンを掴み取り出す

外れたサークリップはこのサイズです。

外したC型リング

ピストンピンは中で自由に動くように
ピストンとの間に隙間があるので
ピストンが新品であれば
ピストンピンを反対側から押せば抜けて出るのですが
利用したピストンの場合は
サークリップの溝の部分が盛り上がっていて
簡単に抜けなくなっています。

サークリップの溝にできたバリを取ってみましたが
抜けないので
押し出すか引き出すためのツールが必要そうなので
今日はここまで
ツールはボルトで簡単に作る予定です。